“山を歩こう!”となったら用意したいのが、トレッキングシューズ。
履き慣れたランシューやスニーカーでも良いけれど、新しいチャレンジを盛り上げる一足も欲しいところ。
そこで、暮らしとスポーツをつなげる本サイト『tow-nagual』編集長の私・大田原透が、最新トレッキングシューズを、実際に山で試しながら、実況レポート。

『two-nagual』編集長オオタワラの実録レビュー

トレッキングシューズは、“履き心地の良さ”で選ぶ

里山ハイクや、雪のない時期の標高1000~2000mの山歩きで、ごっついトレッキングブーツを履く人は、めっきり少なりました。
その分増えたのは、履き心地が良くて軽量、そしてクッション性のあるトレッキングシューズ。
理由は、ダンゼン、楽チンだから(笑)。

荷物が軽い日帰りのトレッキングであれば、サクサク歩けて、疲れにくい、今どきのトレッキングシューズは、山デビューにピッタリの一足と言えます。
従来のトレッキングシューズと言えば、くるぶしをカヴァーするミッドカットで、ソールの硬いブーツを皆さんイメージしますよね。

確かに、硬い靴底のブーツは、過酷な自然環境でも幅広く対応でき、重い装備を背負ってもヘタらないので、長年使われてきました。
でも、トレッキングも含めたスポーツシューズは、ご存知の通り、格段の進化を遂げています。
ランニングシューズに代表されるような新素材の開発競争は、熾烈さを増しているからです。

こうして生まれた新素材を使い、軽くて、クッション性が高くて履き心地もバツグン、しかも安定性があるトレッキングシューズが続々登場しているのです。

神奈川の名峰、丹沢檜洞丸(ひのきぼらまる)でテスト!

楽チンな一足は、体力と時間
そして気持ちの余裕を生む

私も、月に1、2回は、山へトレッキングに出掛けます。
週末の里山トレランや、1週間ほどかけて国内外のロングトレイルを歩いたり、100kmマラソン大会などにも出場しています。
個人的な趣味だけでなく、フィットネスメディアを運営するのが仕事なので、行く場所や内容に合わせて、毎回20足ほどのシューズから履く靴を選んでいます。

私がシューズを選ぶ基準も、楽チンかどうかです(笑)。
雪がある山なら、防水機能のしっかりしたハードな登山靴で、楽チンに。
里山を走るなら、クッション性のあるトレランシューズで、楽チンに。
1000mほどの楽しいトレイルなら、軽量でクッション性の高いトレッキングシューズで、楽チンに、といった具合です。

アウトドアスポーツは危険が伴うので、楽チンなシューズによって、体力と時間に余裕ができると、気持ちにも余裕が生まれ、ミスコースなどなく安全に戻って来れます。
この1年、マラソンやトレランのレースもないので、マイナーなトレイルをばかり歩いてますが、よく見かけるのは、〈アルトラ〉ブランドのシューズです。

以前から、自分で参加したウルトラマラソンのレース会場や、トレランレースの取材で〈アルトラ〉をよく見かけましたが、トレイルで履く人も増えている印象があります。
〈アルトラ〉を履いている人は、ソロのハイカーやトレイルランナー、2人でサクサク進む山慣れたひとたちで、昔ながらの登山者ではあまり見かけません。

ロングトレッキング、トレイルランのレースで
〈アルトラ〉支持者が増えている

〈アルトラ〉ブランドの代名詞と言えるシューズが、2021年春に5回目のフルモデルチェンジとなった《ローンピーク》。
《ローンピーク》は、北米のロングトレイル踏破の文化を体現したようなシューズで、走れる場所はガンガン走れて、歩きたくなったらサクサク歩けるシューズとして設計されています。

《ローンピーク》を生み出した〈アルトラ〉が注目される理由は、創業時からのゼロミリドロップへのあくなき追及からです。
多くのシューズが、(ハイヒールほど極端ではないものの)かかとが高く、足先が低くなるように作られています。

かかとが高い、前のめり気味の姿勢は、必然的に前によく進むからです。
一方、〈アルトラ〉シューズは、かかとから足指の付け根(中足骨)までの高さが、フラットに保たれています。
裸足と同じく、高低差(ドロップ)が、ゼロミリなのです。

ゼロミリドロップは、不自然な前傾姿勢がない分、怪我のリスクが下がると言われています。
こうした〈アルトラ〉の考え方に共感するランナーやハイカーが増え、《ローンピーク》のヒットにより、その後の各社のスポーツシューズ設計に大きな影響を与えました。

中央の黒いミッドソールが、EVAからPU系素材に

〈アルトラ〉を代表する《ローンピーク》
最新版を試しに、いざ山へ!

実際、《ローンピーク》を履いて歩くと、私にはゼロミリドロップが“良い違和感”となります。
シューズを履いているのに、裸足で立っている、不思議な感覚です。

もちろん、数日も履けば慣れるのですが、初めて履いた時は、新鮮な感動がありました(笑)。
昔ながらの靴を履いている人ほど、姿勢を維持する、すねや裏腿のハムストリングスと呼ばれる筋肉が、きちんと働くのを感じるハズです。
今回のフルモデルチェンジにより《ローンピーク》は何が進化したのでしょう?
日本で〈アルトラ〉ブランドを扱う、ロータスの福地孝社長に取材したころ、大きく3つの進化があったそうです。

  • 靴裏(アウトソール)のラバーの質を上げることでグリップ力が向上し、靴裏の凸凹(ラグ)の形状を見直すことで、さらに滑りにくくなっている。
  • 靴裏と足の中間にあたるミッドソール素材を、従来のEVAから、PU(ポリウレタン)系に換えたことで、着地時の衝撃吸収と同時に推進力となる反発性が向上。PU系は気温による性能の変化が少なく、耐久性も向上した。
  • PU系のミッドソールに内蔵された「ストーンガード」というプレートの機能で、着地時に、岩などの硬い路面の衝撃をさらに吸収できるようになった。

ALTRA LONE PEAK 5 M

カラー:2色(カーキ、ライム/ブラック)
重量 318g (メンズ27.5㎝/US9.5)
¥17,600(税込)
今期、ブルー/ライムカラーのワイド版もデビュー!

アウトソールの高いグリップで、あなたも“下り番長”に!

靴裏のグリップは、シューズの信頼性に大きな影響を与えるため、アウトドアシーンだけでなく、渋谷の街でも試してみました。
センター街やスペイン坂の雨上がりのマンホールや鉄板、石畳など、スリップしやすい場所でも、その優秀性は◎!

雨の翌日の山では、木の根、濡れた岩で試したところ、最新のグリップ性能を遺憾なく発揮してくれました。
山で試して初めて気づかされたのは、ゼロミリドロップによってカラダの重心が安定し、さらに高いグリップ性能が加わることで、下りの足運びが驚くほどスムーズに感じられた点。

「下りは苦手……」という方ほど、《ローンピーク》で“下り番長”な感覚を味わえるはずです。

ミッドソールのPU系素材
&ストーンガードでさらに無敵に!

《ローンピーク》のPU系素材は、ひと言で表現すると、“やさしい軟らかさ”。
同じPU系素材を使ったランニングシューズでも、ことさらに反発性を強調するブランドもありますが、《ローンピーク》の着地は、ストーンガードの機能と合わさって、とてもマイルド。
足を疲れさせない“やさしい軟さ”は、特に、下りで感じるハズです。
急な斜面でも、普段よりズンズン下っていけるので、ちょっとした驚きでした。
 “下り番長”を支える《ローンピーク》のミッドソールとストーンガード、頼もしい存在です。

さすが、サクサク歩けて走れる
トレイルシューズの名品!

足指で地面をしっかり捉える幅広な足先は、適度なロッカー構造(反り返り)になっています。
着地時、ゼロミリドロップの足裏全体で衝撃を吸収しつつも、適度なロッカーによるトゥオフ(足が地面から離れる際)が生まれ、無理なく無駄なく、推進力が保たれます。
また、シューズの先端部分とサイドにあるドレーンホール(排水穴)も、前モデルのメッシュから、強度を保てるレーザー加工に進化しています(排水穴は、沢などで濡れた後、乾いた路面を進むことで、速やかに水抜けする機能です。湿地帯などを進む際は、ポンプの役割で、シューズ内に水を吸い込むこともあります)。

アッパーに多用されているメッシュに加え、このドレーンホールも通気性に貢献しており、夏場のトレッキングや、トレランで、快適に走ることができます。

山ビギナーにお勧めの最新トレイルシューズのレビュー、いかがでしたか。
シューズ選び基準は、“楽チン”。
お忘れなく!

次回、『to-nagual』編集長オオタワラの実録レビューは、初夏にお届けの予定です。

ALTRA(アルトラ)
自然豊かな米国ユタ州で、2009年に生まれたランニングブランド(現在の本拠地は、アウトドア天国のコロラド州デンバー!)。創業時より、ランニングによる故障を減らすべく、ゼロミリドロップ(裸足と同じく、足先とかかとの高低差がゼロ)に着目したシューズ作りを一貫して行っている。“超”がつくような長距離のロードランニング、トレッキング、トレイルランニングでの評価はとりわけ高く、ウルトラマラソンや100マイルレースでの使用率が特に高い。

商品サイトに“つながる”

https://store.shopping.yahoo.co.jp/fitnessclub-y/altra-lp50m.html

■大田原 透(おおたわら・とおる)/暮らしとスポーツが“つながるtwo-nagual編集長
㈱マガジンハウスにて26年間、雑誌『Tarzan』の編集に携わり、スポーツとフィットネスの最前線を取材。2009年から2018年までの10年間は、同誌の編集長を務めた。2020年末より、㈱クラブビジネスジャパンにて、本「two nagual」プロジェクトのスタートアップに従事。もちろん、大のアウトドア好き!

Movie created by ステレオタイフーンの秘密基地