「two-nagual」の世界を体現する、スペシャルインタビュー「ひと」。
今回の「ひと」は、湘南でアウトドアのNPO法人を運営する遠藤大哉さん。
ニュージーランドで出会った野外活動学校をヒントに、日本の子どもに、
海をはじめとする自然とのふれ合い方を、30年にわたって伝え続けてきました。

遠藤大哉さん
えんどう ひろや/1968年、東京狛江生まれ。東京工科大学特任准教授、日本体育大学ライフセービング部監督、元ライフセービング全日本チーム監督。学生時代には、パドルボードで全日本選手権に優勝。サーフィンのインストラクターの資格も持ち、湘南の西浜でNPO法人「バディ冒険団」を主宰している。

30年来の副業は、NPOでの地域の野外教育

「バディ冒険団」は、30年間、NPOとして充実した活動を続けています。
子どもを中心にした「バディキッズ アドベンチャーチャレンジプログラム」は、1年を通じ、月に1、2回、海や山、ウインタースポーツなど、年間20数回のプログラムを提供しています。
対象は、小学生、中学生で、現在、50人ほどの会員がいます。

「バディ冒険団」は、収益面では順風満帆とは言えません。
ですので、メインの収入は大学で教えることで得ています。
もちろん、NPOだけでやって行く道を模索した時期もありました。

でも、そうなるとビジネス的な面が強くなって、本来自分のやりたかったことと離れてゆくジレンマを感じました。
今は、NPOとして大切にしたいことをメインに活動し、仕事は仕事として分けて考えていますが、日々、試行錯誤を繰り返しです。

朝、5時45分からの、海での「朝練」

「バディ冒険団」の夏場の活動は、毎朝です(笑)。
ラジオ体操の代わりに海に集まり、この夏も「朝練」をやっていました。
波があれば、サーフィン。
なければ、泳いだり、パドルボードに乗ったり、ビーチを走ったりします。

朝練は、人数が多いので2つのクラスに分け、1時間ずつ行います。
海で遊びたい子どもたちは、7時からの「マイペースクラス」。
ライフセービングの大会に出る子どもたちは、さらに早い5時45分に集って、遊びだけでなくトレーニングも行います。

コロナ禍で、子どもたちは、海を怖がるようになった

コロナ禍で顕著になったのですが、子どもたちは、海で泳ぎたがりません。
海で遊ぶことに慣れておらず、足のつくところでは、バシャバシャ遊びますが、少しでもつかないと、泳げる子でも泳げなくなってしまいます。
子どもたちが、どんどん変わってしまっています。

以前は、子どもたちは海に入って、我々とがむしゃらに遊んでいました。
でも、今、子どもたちは、海を怖れています……。
子どもが本来、大好きな、潜ったり、浮き身をしたりも苦手です……。

この地域に住み、海が目の前にあるにも関わらずです。
急速に、自然で遊ぶことができなくなっています。

野外教育は、社会的な価値として、ますます求められている

そのため、私たちは、夏の朝練を通じて、泳いだり、潜ったり、浮いたりを毎日のように繰り返し行います。
楽しさを感じてもらうことから、海での安全につなげるよう、一歩一歩、丁寧に取り組まざるを得ないのです。
コロナ禍を通じ、私は、“やんなきゃ……”という使命を、さらに強く感じています。

逆に言えば、それはニーズを生み出しています。
「バディ冒険団」のような“場”を提供することは、社会的な意味が増しています。
従来の部活などの枠組みでは、この状況は改善しにくくなっています。
運動が好きな子どもは、サッカークラブなどの選択肢もありますが、“部活に入れないけれど、カラダを動かしたい”子どもたちは圧倒的な多数です。

湘南に引っ越しても、海に尻ごみをする現状を変えたい

それに加え、運動嫌いな子どもたちも、増えてきています。
しかも、これは日本だけに留まりません。
10代の8割が運動不足というデータが公表され、世界的な課題になっています。
こうした“場”を提供するニーズが、ますます高まっていると、私は感じています。

湘南エリアに、新たに引っ越してくる方たちは、コロナ禍を機に、本当に増えました。
そうした方たちは、自分の子どもに、海のある環境を与えたいと考えています。
でも、その子どもたちが、海に尻込みをしています。
そして、親である自分たちも、自然で遊ぶ経験が足りていません。
海だけでなく、自然全てに対して、尻込みをしているのです。

次回は、あなたの「海への扉」の開け方を、遠藤さんに教えてもらいます。